「『終活』や『自分史』、あるいは『過去の棚卸し』と聞くと、正直、こう思いませんか?」
- 「そんな面倒なことをする時間はない」
- 「今さら昔のことを掘り返して、一体何になるというのか」
- 「無料の自己分析ツールで十分。50代はコスパとタイパ(タイムパフォーマンス)が大事だ」
- 「どうせやるなら、フレームワークさえあれば自分でできる。わざわざ人に頼むことではない」
- 「なにより、キャリアの失敗や辛い過去は思い出したくない」
これらはすべて、時間的、心理的な「負担」です。
ですから、もしあなたが「手っ取り早く」「楽に」答えだけが欲しいとお考えでしたら、残念ながらこの記事はお役に立てないかもしれません。
この記事は、「50代からの残り時間を、1分1秒たりとも無駄にせず、本当に有意義なものにしたい」と真剣に願う方だけに、お届けするものです。
湘南キャリアデザイン研究所が提唱する「キャリアのリノベーション」の根幹は、『終活』と『自分史』の掛け合わせにあります。
あえて、あなたに問いかけます。
あなたは、この『終活』や『自分史』づくりを、単なる「コスト」と考えますか?
それとも、未来への「投資」と考えますか?
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「コスパ最優先」の50代が陥る、人生後半の大きな罠
📉 短期的な「コスパ」の危うさ
「50代からのキャリアは、コスパとタイパが最優先だ」
そのお気持ちは理解できます。しかし、その結果、何が起きているでしょうか。
書籍やインターネット上には、「強み発見ツール」や「適職診断」が溢れています。それらは手軽で、即座に「答え」らしきものを提示してくれます。
それらは、自分をしっかりと解析した結果として受け止められるものかもしれません。
しかし、その「答え」は、本当に「あなた」の答えでしょうか?
どこかに微妙な違和感を感じたりしませんか?
Aさんが使っても、Bさんが使っても、似たような言葉(「傾聴力」「調整力」「リーダーシップ」)が並ぶ。そのような分析結果に、あなたの30年以上のキャリアの深みと独自性が、果たして適確に反映されているでしょうか。
このようなツールが導き出す「答え」は、あなたの心を本当に動かす「自分だけの羅針盤」にはなっていますか?
🤺 「自分でできる」という思い込み
「フレームワークさえあれば、自分史くらい自分で書ける」
そうお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
実は何を隠そう、私もその一人でした。
確かに、世の中には多くの「自分史を作成する方法」に関する情報がたくさん存在しています。
しかし、ここで私の経験も踏まえて、明確に申し上げておきたいことがあります。
フレームワークを埋める「作業」と、そこから価値を見出し未来につなげる「内省」は、全くの別物であるということです。
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズは、有名なスピーチで「点と点(Connecting The Dots)」の話をしました。一見バラバラに見える過去の経験が、後から振り返ると未来につながる一本の線になる、という話です。
「自分の歴史」を振り返るとは、まさにこの「点」を拾い集める活動です。
ですが、一人でその「活動」を行うだけでは、「点」はバラバラのままです。その「点」が何を意味し、他のどの「点」と結びつき、未来に向かってどのような「線」を描こうとしているか。
それを解釈するプロセスこそが「内省」です。一つひとつの「点」を「線」にすることで、深い「内省」が実現されるのですが、これが簡単なようで、難しいものなのです。ゆえに、価値ある部分でもあるのです。
🧘 2つの「負担」を直視する
私が提唱する「キャリアのリノベーション」は、正直に申し上げて、「楽」でも「手軽」でもありません。
少なくとも2つの「負担」が必ずかかります。
- 時間的負担: 過去を丁寧に振り返るためには、絶対的な時間が必要です。
- 心理的負担: 過去の成功体験だけでなく、失敗や後悔、見たくない自分とも向き合う必要があります。
「それなら、やはりコスパが悪い」
そう結論づけるのは、まだ早いのです。
なぜなら、その「負担」をかけてでも、やる価値があるからです。
それは、私たちが「時間」という、最も貴重なリソースを測る「モノサシ」を間違えているからに他なりません。
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「人生の費用対効果」で考える 〜2.5%の投資で、残り97.5%の人生を豊かにする〜
短期的な「コスパ」ではなく、**「人生(ライフタイム)の費用対効果」**という新しいモノサシで考えてみてください。
非常に現実的なシミュレーションをしてみましょう。
- 現在のあなた: 57歳
- 健康寿命(自立して活動的に生きられる年齢): 仮に77歳と設定します
- 残された「自ら行動できる時間」: 20年間(=240ヶ月)
もし、あなたが「本気で自分を変えたい」と決意し、湘南キャリアデザイン研究所のプログラムで、私と集中的に『終活』と『自分史』に取り組んだとします。
- 集中的なリノベーション期間: 6ヶ月間
この「6ヶ月」という期間を、どう捉えるでしょうか。
残りの人生240ヶ月のうちの、わずか6ヶ月。
計算すれば、**2.5%**です。(6ヶ月 ÷ 240ヶ月 = 0.025)
残り時間のわずか2.5%という『投資』で、残りの97.5%(234ヶ月)の人生の『質』を高め、迷いなく進むための『自分専用の指針』が手に入る。
概略的な計算ですが、ライフタイムというスパンで捉えると、投資した元は回収できると思いませんか?
**「ゆっくり、いそげ(Festina lente)」**の真意です。
人生の後半戦だからこそ、焦って目先の「タイパ」に飛びつくのではなく、腰を据えて「ゆっくり」と自分を掘り下げることが、結果として残りの人生を「いそげ(豊かにする)」最短距離となるのです。
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「辛い過去」は、なぜ「価値」に変わるのか?
「人生の費用対効果はわかった。しかし、それでも辛い過去は思い出したくない」
確かにそうかもしれません。「自分史」づくりで最も筆が止まる瞬間。それは、キャリアにおける「失敗」「後悔」「挫折」といった「影」の部分と向き合う時です。
しかし、断言します。
あなたの「強み」や「価値観」の多くは、その「影」の部分にこそ眠っています。
私自身、キャリアにおけるコンフリクトや不本意な異動、やりがいへの渇望といった「壁」に何度もぶつかりました。また、大切にしていた築67年の実家じまいという、苦渋の選択も経験しました。
これらの「不」の経験で得た知見こそが、今の私の事業の原点(入り口)となっています。
「不」から逃げず、それと向き合い、「なぜ自分はそれを『不』と感じるのか?」を徹底的に掘り下げたからこそ、自分の価値観が明確になりました。
あなたの「こまりごと(不)」は、あなたが何を大切にしているか(価値観)を映し出す鏡なのです。
例えば、「正当に評価されない(不遇)」という「不」を感じるのなら、それは「自分の貢献を正しく認められたい」「誠実なプロセスで評価されたい」という、あなただけの強い価値観の裏返しです。
「一番手痛い経験」こそが、あなたの「誇らしい経験」と同じくらい、いや、それ以上にあなたの「強み」の原点であり、あなたという人間を形作る「価値」なのです。
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【全公開】経験を価値に変える「キャリア・リノベーション」4つの究極ワーク
「言うは易し、行うは難しだ」
その通りです。だからこそ、「型」が必要になります。
ここからは、湘南キャリアデザイン研究所が実際のセミナーやプログラムで用い、その効果を実証してきた「フレームワーク」を、この記事をお読みの「真剣な」あなただけに、すべて公開します。
この「問い」の深さ、そして「本気度」を、ぜひ感じてみてください。
ワーク1:『終活』の問いで、価値観の“源泉”に触れる
キャリアのリノベーションは、「キャリア」から考え始めてはいけません。
まずは「終活」から入ります。
なぜなら、「終活」は「死の準備」ではなく、**「人生の終わりから逆算して、本当に大切にしたい価値観を見出す」**究極の自己分析だからです。
鍵となる問いは、「誰に何を残し、誰に何を託すか」。
ご自身の「カネ」「ヒト」「モノ」「コト」について、以下の問いに答えてみてください。
- 【カネ】
- 自分の資産の中から、特に「誰か」に残したいと思う資産は何ですか?
- その人に、その資産を「残したい」と思った、あなたの素直な理由は何ですか?
- その資産を、その方に「託す」ことで、その方の未来がどのようになってほしいと願いますか?
- 【ヒト】
- 「誰かの背中をそっと押してあげた、あなたの一言」を思い出してください。その一言を、誰の心に残してほしいですか?
- 「人生は思い通りにならないことの連続だ。しかし、その経験にこそ、次の扉を開く鍵がある」ということを、今まさに立ち尽くしている大切な人に伝えるとしたら、どのような言葉を投げかけますか?
- 【モノ】
- あなたの人生で、たった一つだけ「モノ」を残せるとしたら、それは何ですか? それを誰に残したいですか?
- そのたった一つの「モノ」に込められたあなたの想いを、誰に託したいですか?
- 【コト】
- あなたが経験した、一番誇らしい経験は何ですか? そして、一番手痛い経験は何ですか? そのありのままの経験を誰に残したいですか?
- あなたが余命1年だとしたら、「ああ、これだけはやり遂げたかったな」と一番心残りになりそうなことは何ですか? その「コト」を誰に託したいですか?
いかがでしょうか。「残す(完了)」ではなく、「託す(未来への願い)」を考えた時、あなたの「価値観の源泉」に触れる感覚がありませんでしたか?
ワーク2:「こまりごと」を棚卸しし、“不”の要因を客観視する
価値観の源泉に触れたら、次は「現在地」を知る必要があります。
それが、あなたの「モヤモヤ」の正体、すなわち**「こまりごと(不)」**の棚卸しです。
まずは、頭に浮かぶ「こまりごと」「不」を、仕事でも私生活でも構いませんので、30個ほど書き出してみてください。
次に、その「不」を客観的に分類します。
多くの方の「不」は、以下の3つに分類できます。
- 1. 組織的要因(不信・不遇)
- 「これまでの貢献が正当に評価されていない」
- 「会社のビジョンと実際の行動にギャップがあり、矛盾を感じる」
- 「やりがいのある仕事が与えられず、ルーティンワークばかり任されている」
- 2. 個人的要因(不安・不信)
- 「この年齢で転職できるのか、活躍できるか自信がない」
- 「自分の強みが何なのかわからず、漠然とした焦りを感じる」
- 「過去の成功体験が通用しなくなり、自分自身の能力に自信を持てない」
- 3. 認知的要因(不足・不名誉)
- 「変化の速い時代に対応するための新たなスキルや知識が不足していると感じる」
- 「若手社員から『時代遅れ』と見なされているように感じ、自尊心が傷つく」
- 「同期が出世していく中で、自分だけが取り残されたように感じる」
あなたの「こまりごと」は、どれに当てはまるでしょうか?
このように分類するだけで、漠然とした「モヤモヤ」が、対処可能な「課題」として客観視できるようになります。
ワーク3:『自分史』の「点」を掘り起こす時系列フレームワーク
いよいよ『自分史』の作成、すなわちキャリアの「点」を拾い集める作業です。
「自分史が書けない」最大の理由は、「どこから手をつければいいか分からない」ことです。
そのために、この「時系列フレームワーク」を使います。
(出典:『006【セミナー特典】 ビジネスパーソンとしての自分史を書き出ししやすくするフレームワーク.pdf』より)
【横軸】:あなたのキャリアの時期(5年ごと)
「1〜5年目」「6〜10年目」「11〜15年目」……「31〜35年目」
【縦軸】:経験を掘り起こす10の問い
- 1. 成し遂げてきたこと、誇りと感じていること
- 2. 失敗したと感じていること、後悔していること
- 3. 困難を乗り越えるために工夫したこと
- 4. 他者からどう思われたいと考えていたか
- 5. 実際、他者からどう思われていたか
- 6. 尊敬する上司・同僚・部下(その理由)
- 7. 許せないと感じた上司・同僚・部下(その理由)
- 8. 特に(今の自分に)影響を与えた出来事
- 9. 当時の自分の「仕事の哲学」
- 10. (各年代の最後に)○○さんにとって、仕事とは何か?
このマトリックスを使って、各年代の「点」を埋めていきます。
「誇り(光)」も「後悔(影)」も、「尊敬(好き)」も「許せない(嫌い)」も、すべてがあなたの価値観を形作った、かけがえのないキャリアの「点」です。
ワーク4:「経験」を「強み」として言語化する最終スクリプト
ワーク3で集めた「点(事実)」を、いよいよ「価値(強み)」に転換する最終ステップです。
ここでは、あなたの経験を「ポジティブな側面」と「ネガティブな側面」の両方から見つめ直します。
(出典:『005【セミナー特典】_ビジネスパーソンとしての自分史.pdf』より)
ステップ1:事実の列挙
まず、ワーク3で集めた「点」を、以下の2つの側面から具体的に書き出します。
- 【ポジティブな側面】
- 褒められたこと
- 他人ができないこと
- 続けてきたこと
- 自信があること、得意だと思うこと
- 価値や意義を感じること
- 【ネガティブな側面】
- 怒られたこと
- 認められなかったこと
- 続けられなかったこと
- 苦手だと思うこと
- 価値や意義を感じないこと
ステップ2:強み・弱みへの再定義と「根拠」の言語化
次に、ステップ1で列挙した「事実」をもとに、あなたの「強み」と「弱み」を5つずつ言語化します。
ここが最重要です。
単に「強みは○○です」と書くだけでは意味がありません。
必ず、**「どうしてそう考えるか」「その根拠は何か」**を、あなた自身の言葉で書き出してください。
- 【強み】
- 1. (強み): ______
- 根拠(事実):______
- 2. (強み): ______
- 根拠(事実):______
- 1. (強み): ______
- 【弱み】
- 1. (弱み): ______
- 根拠(事実):______
- 2. (弱み): ______
- 根拠(事実):______
- 1. (弱み): ______
この「根拠(事実)」こそが、あなたの「強み」に揺るぎない説得力を与える「価値」の源泉です。
これが「経験を価値に変える」プロセスの核心です。
—
結論:独力でやりきることは、簡単ではない
さて、これだけの「問い」のシャワーを浴びて、いかがでしたでしょうか。
この4つのワークを、あなたは「たった一人で」やり遂げ、そこから「未来への指針」を導き出すことは簡単なことではありません。
しかし、大切なことは、この問いに向き合いたいと思えるか否かです。
なぜか?
理由は、大きく2つあります。
- 「辛い過去」で、必ず筆が止まるから
ワーク3の「後悔していること」や、ワーク4の「怒られたこと」を掘り下げようとすると、人間は本能的に「蓋」をします。そのネガティブな記憶の奥に「価値」が眠っているとわかっていても、一人ではそこまでたどり着けません。
HRM(人事)の専門家であり、キャリアの葛藤を知る私が「安全なガイド」として伴走するからこそ、あなたは安心して「影」の部分と向き合い、その奥にある「宝物」を手にすることができるのです。 - 集めた「点の意味」が、自分では見えないから
「自分のことは、自分では見えにくいもの」です。
たとえワークシートを完璧に埋められたとしても、それらはまだバラバラな「点」に過ぎません。その「点」と「点」をつなぎ、未来への「線」として解釈するには、客観的な視点と、キャリア理論、そして30年以上の人事経験に裏打ちされた「解釈の技術」が必要です。
『終活』と『自分の歴史』を振り返ることは、書くことが目的ではありません。
自分の言葉で書き出したものを『どう解釈し、未来の行動に結びつけるか』という深い『内省』こそが目的なのです。
「もし、この『人生の費用対効果』が最も高いワークに、専門の伴走者と共に『真剣に』取り組んでみたい」
「そう決意された時には、当研究所の『キャリア・リノベーション相談』が、その真剣な第一歩を踏み出す場所として静かに用意されていることを、思い出していただけたら嬉しく思います。
まずは、あなたのその『想い』を、私に聞かせていただけませんか。」