50代転職|「失敗する人」と「活躍する人」を分ける入社後の3つの行動

「年下の上司とうまくやっていけるだろうか」「これまでのキャリアが新しい職場で通用しなかったら……」
そんな不安を抱えていませんか?

人事として30年、組織と人のキャリアを見つめ続けてきた経験から断言します。50代の転職において、スキルの有無以上に重要なことがあります。
それは、入社後の「マインドセット」です。

転職活動のテクニックだけでなく、入社後にあなたが「幸せに働く」ための視点をお伝えします。

50代の転職を失敗しないための3つのヒント

50代で転職することができたとしても、それが明るい将来を保証してくれるものではありません。転職はあくまでもキャリアの分岐点に過ぎず、転職した後の行動次第では、転職後のキャリアが暗転することはよくあることだからです。

人事の仕事に携わっていると、面接では好印象だった人が、入社後に評価を極端に下げてしまうケースを目にします。

多くの場合、実際に一緒に働いてみると、その人の言動が評価を極端に下げる要因になっているわけですが、当の本人はそのことに気付いている節がなく、結果として、職場で浮いた存在になってしまうことがあるのです。

せっかく覚悟をもって決断した50代の転職。失敗しないことが大切なことです。

そこで、失敗しないための3つのヒントをお伝えしていきます。

【失敗原因①】プライドが邪魔をする?「信頼残高」の欠如

信頼残高を積み上げる

「友達100人できるかな」ではありませんが、転職した会社ではゼロから人脈を築き上げていくことが必要になります。

社会人としての経歴の中で積み上げてきた業界における人脈は維持できることがあっても、新しい職場ではそうはいきません。

50代で転職した人に対して、職場の人は多かれ少なかれ、つぎのような印象をもっているものです。

それは、「お手並み拝見」という印象です。

日本的な職場慣行かもしれませんが、転職した直後の会社における信頼残高はゼロなわけですから、当然のことです。

50代で転職する人で、失敗する人の多くは自分のプライドにこだわりがあり、自分からともに働く同僚と打ち解けて話をしない場合が往々にしてあります。

「郷に入れば郷に従え」の通り、自分から胸襟を開いて、話をすることができないと、自分の信頼残高を増やすことは決してできません。

つまり、自分から距離感を縮めることが大切になるわけです。距離感を縮めるには、単純接触回数を増やすことが最も早道です。

協業の機会を大切にする

自分から距離感を縮めて、信頼残高を増やす土台を築くことのほかに、もう一つ工夫するとよいことがあります。

それは、新しい職場で一緒に仕事をする機会を意図的に持つということです。

仕事の質は問いません。コピー機の紙詰まりを一緒に修理したりすることでも良いくらいです。

協業する機会は、自ら創り出すことがとても大切です。そのためのコツは、周囲の動きに敏感になることです。周囲の動きに敏感になると、だれが今どのようなタスクに取り組んでいるかを察知することができます。

そうなると、そのタスクが何を目的としているか関心が芽生えてきます。関心が芽生えれば、そのことについて自分でわかる範囲で構わないので調べてみる機会を持つことができます。つまり、タスクに関することを、相手に質問する機会が持てます。こうして、協業する起点がみつかったりするのです。

これは、あくまでも一例です。

しかし、一緒に汗をかくという機会が信頼残高を増やすためのもう一つの近道であることは念頭においておくことが大切です。
50代の転職で失敗しないための1つ目のヒントは、新しい職場における信頼残高の構築です。
1日でも早く着手することが、結果として、自分の転職後の活躍の可能性を広げ、成果を創出し、組織に貢献することにつながるからです。

自分のプライドは一旦横において、愚直に取り組むと、必ずプラスになります。

【成功の鍵②】会社と自分への「コミットメント」を言語化する

自分に対するコミットメント

人それぞれに転職の目的は異なるわけですが、自分に対するコミットメントとは、転職後に改めて自分の覚悟を固めることを意味します。自分の意思として成し遂げたいことを明らかにすることとも言えます。

そのためには、自分の人材力が何であるかを振り返ることです。

私が提唱する人材力の基本公式は、(【基礎力】+【専門力】+【再現力】)×【人間力】です。自分に対するコミットメントとは、この4つのチカラをいかに自分らしい発揮の仕方と貢献の仕方について、あるべき姿を描くことをオススメしています。

あるべき姿を描ければ、それに近づけるために必要となる行動を自立的に考えるマインドが醸成されるからです。

会社に対するコミットメント

自分の人材力を通して、自分に対するコミットメントを固めた後は、組織に対するコミットメントを固めることです。

転職前に描いていたことと入社後のそれは、多かれ少なかれギャップがあるものです。そのギャップも良い意味で想定外のことと捉えて、「自分の貢献を通した成果創出」につなげることが必要になります。

転職後、なるべく早く、「どのように会社に貢献し、成果を創出するか」を言語化し、上司や同僚に宣言するということをオススメしています。ここまでやる人は極めて少ないのですが、宣言することにより、よい意味で自分に負荷をかけてみると、自然と覚悟が決まってきます。

それゆえに、自分が働くことになる会社に対するコミットメントは意味があるのです。

50代転職で失敗しないための2つ目のヒントは、コミットメントを固める得るということです。

コミットメントも、「自分に対するコミットメント」と「会社に対するコミットメント」という2つの種類があります。

「自分に対するコミットメント」と「会社に対するコミットメント」。2つのコミットメントを固めることは、自分の進む方向性を固めることにもつながります。自分の進む方向性が固まると、それを実現するために必要なことを自分の脳が考えはじめてくれます。

これが、自律的かつ主体的に考え、行動するための礎になると、私は考えます。
50代の転職を失敗しないためにも、2つのコミットメントを、自分の言葉で語れるようにすることが、大切になるのです。

【人間関係のコツ③】「敵を作らない」が最大の防御

信頼残高の育て方

一つめのヒントとして、「信頼残高」を積み上げる大切さをお伝えしました。転職した会社でゼロから人脈を築き上げていくことが、転職後の活躍の可能性を広げ、成果を創出し、組織に貢献することにつながるからです。

仕事は協業の上で取り進めるものなので、苦労して築いた信頼残高を大切に育てていくことが重要です。というのも、ちょっとした意見のすれ違いや誤解が原因で、その信頼残高が壊れてしまうことが多々あるからです。たとえば、転職後の会社で信頼残高が積み上がっていく感覚をもつときに注意が必要になります。適度に緊張感がほぐれて、素の自分が表れやすくなるからです。

価値観を受け止める器

素の自分が表れると、転職後の会社の仕事の進めを批判的に評価する言動をしやすくなるので注意が必要です。信頼残高があるから大丈夫だろうと自分が思っていても、それを相手が受け止めてくれるかは別問題です。
自分としては現状を踏まえた改善提案をしているつもりでも、受け止める側はあたかも自分を批判的に捉えていると感じてしまうことが往々にしてあるからです。
転職後の会社の仕事の進め方を理解するには、それがどのような経緯をもって作り上げられたものであるかを理解することが必要になります。少し大げさですが、相手の仕事に対する価値観について、その価値観が作り上げられたプロセスを含めて理解することが必要になるのです。

つまり、相手の価値観を受け止めることが重要になるのです。

相手の価値観を受け止められないと、自ら敵を作ることになり、仕事の環境を自ら悪化させてしまうことになります。

「敵を作らない」ことは、とても重要なことです。1人でも敵を作ってしまうと、周囲へ伝播してしまう可能性が高まるからです。転職直後の会社で自分のチカラを存分に発揮するためには、自分で働く環境を整えることが大切です。

出過ぎず、しかし、思う存分活動できる環境を工夫して創造する、ことに注力することですね。

  • 信頼残高
  • コミットメント
  • 敵を作らない

この3つを意識して行動することで、50代の転職を失敗したと感じる機会が格段に減ります。

自分のキャリアを豊かなものにするために、意識していただければ幸いです。

本日も、お読みいただきありがとうございました。


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