護身術のセミナーを受講して、思いもよらず、キャリアの選択に役に立つ考え方に気づくきっかけを得ました。
- 緊張と緩和を、上手につかうこと
- じぶんの認知を変えることで、アタマとココロの働きが変わること
よくよく考えれば、この二つのことは、一般的にもよく言われていることです。しかし、護身術を学ぶことを通して身体的に体感したとき、この二つを改めて実感しました。
今日一日、私のアタマの中をグルグルと廻っていたことがあります。
それは、「なぜ、転職という大きく、難しい決断に迫られるとき、人は迷うのだろうか?」ということです。
50代で、もう一度じぶんのキャリアを建て直したいと考えている人にとっては、清水の舞台から飛び降りるくらい大きな決断です。
この決断に関する迷いをゼロにすることはできないでしょう。
転職を考えはじめるときのじぶんの状態
転職を考えはじめるときは、新たなチャンスを掴もうという気持ちになっているものです。適切なたとえではありませんが、あたかも難しいゲームをクリアしていくような高揚感を感じることすらあります。
転職先を探しているときは、じぶんのチカラのことを必要としてくれる新天地との出会いがあったりするので、転職活動がうまく進むと高揚感を感じやすくなるのです。
一方、転職先がうまく見つからなかったりすると、気持ちは停滞します。じぶんを必要としてくれる新天地が見つからないことが、じぶんの将来見通しを暗くするからです。
以上、当たり前のことを書いてしまいました。
なぜか。
それは、転職を考えはじめるときのじぶんの状態を、的確に把握しておくことが、転職というキャリアの転換期を適切に乗り切るコツであるからです。そして、じぶんの状態によって、じぶんの直感が影響を受けてしまうからです。
「迷ったら、直感を信じろ!」は本当か??
転職するか否かで迷ったとき、私は一つの指針として、「厳しそうな道、じぶんが成長しそうな道」を選択することがよいと考えています。しかし、「転職するか、今の会社にとどまるか」という選択を目の当たりにするとき、どちらを選択することがよりよい将来につながるかを決めることは、ほんとうに難しいことです。
この選択は、仕事のみならず、じぶんのプライベートのことも含めて、いろいろなことを総合的に判断しなければならないからです。
そんなときに、あるささやきを耳にすると、思考がフリーズしてしまうことが往々にしてあります。
それは、「迷ったら、直感を信じろ!」です。
「直感」は裏切らないということと解釈できますが、それは本当だろうか?と思います。
あくまでも私の経験ですが、「直感」を信じた結果、「しくじってしまった・・・」という思いを抱いたことがあります。「直感」を信じた結果、現状維持することへの未練がムクムクと湧き起こり、転職後のまだ見ぬ不安を勝手に大きくしたり、処遇への不安を妄想したりしてしまったのです。
本当に「直感」は裏切らないのだろうか?という思いを抱いたことを思い出しました。
「人は変化を嫌うもので、変化が伴うときは強烈に現状維持モードになる」ということを前もって認識しておくことが重要だと、私は考えます。
大きく、難しい決断に迫られているときは、緊張が続いてしまいます。
同時に、現状維持モードになると、アタマとココロも冷静に判断する余裕をなくしてしまいます。
このように捉えると、緊張を緩和し、冷静に判断するための方法が、迷いを抜け出すヒントになりそうです。
50代で転職するというキャリアチェンジを考えるとき、慎重になる必要があることは当然のことです。しかし、時として人は慎重になるべきときに、その慎重さを失うことがあります。
慎重なのに、「直感」を信じてしまうということです。
「直感」を信じたSさんの事例
50代の事例ではないですが、40代で転職するか否かに迷っていたSさんの事例です。彼は、自分の力を発揮できそうで、かつ、自分を求めてくれている会社に行きたいという思いを抱いていました。40歳を過ぎた転職活動も順調に終え、いざ内定通知を受け取ったときから、彼の悩みは益々深まりました。
「今の会社に残った方がいいんじゃないか?」
どうして悩みが深くなったかを聞いてみました。
「今までこの会社に育ててもらったのに、ほんとうにいいのか?」
「給料が減ってしまうけれども、生活はやっていけるのか?」
「今の会社で我慢すれば、いいことがあるかもしれないのでは?」
「今の会社に残っていても、いいことはないはずだ。」
「出向や転勤があったりするけれども、家族と別に生活することは耐えられるか?」
「今の会社も合併とかあるかもしれない。。。」
彼は、会社に退職する旨を伝えましたが、慰留されました。慰留されて、再度考えることにしたのです。しかし、最終的に、彼はつぎのように考え、転職することを決断しました。
「今の会社が合併したりしたら、自分のポストはなくなるだろう。ならば、今が転職のタイミングだ。」
考えに考え抜いた結論というよりも、自分の「直感」を信じたようなのです。
Sさんの後悔
転職を決断してから、Sさんは強烈な現状維持モードに襲われます。
「このような選択をした自分は正しかったのだろうか。」
「うまく転職先でやっていけるだろうか。」
大きく、難しい決断をしたにもかかわらず、そのために必要な覚悟が足りなかったと、Sさんは振り返ってくれました。
- 自分ひとりで、アタマの中で悩み、考える作業を繰り返していた
- 1ケ月近くも悩み、考えたけれども、結論がでなかったので、「直感」に頼った
思うに、悩み、考えることに疲れてしまっていたから、「思考停止」の結果として「直感」に逃げてしまったかもしれない。
現状維持モードによって、Sさんは転職という選択をしたことを猛烈に後悔しはじめたのです。
Sさんの後悔の原因
私は、Sさんの後悔の原因は3つあると捉えています。
- キャリアの選択にあたり、現状維持モードを軽視したこと
- 悩み、考えることに疲れて、「直感」を信じたこと
- 悩み、考えることをアタマの中の作業にとどめてしまったこと
キャリアの分岐点における「選択すること」への極度のプレッシャーと自分の認知にゆがみが生じることが、これら3つの原因を引き起こし、後悔につながったということです。
50代の転職で、後悔することは絶対に避けなければいけません。ゆえに、Sさんの後悔の原因となった3つのことを教訓として活かすことが大切だと、私は考えます。
後悔しないための3つのヒント
転職という大きく、難しい決断に迫られ、迷いを感じるときは、Sさんの後悔の原因になった3つのことを思い出してみることをおススメします。
- 「現状維持モード」が発動することを前提に、自分の感情を客観視すること
- 思考に疲れたときの「直感」は「逃げ」であると疑うこと
- 頭の中だけで悩まず、紙に書き出すなどして、思考を「見える化」すること
大切なことは、その前段階で、自分にかかわる情報をあぶり出し、整理し、その上で何が適切であるかを判定することにあるというプロセスを踏むということです。ゆえに、「現状維持はNGだ。」とか「「直感」を信じてはいけない」ということではありません。大切なことは、それが「経験に裏打ちされた直感」なのか、単に考えることに疲れた末の「思考停止」なのかを見極めることです。
大きく、難しい決断をするとき、「現状維持モード」が認知のゆがみを作り出し、決断を鈍らせるとともに、覚悟の程度も小さくしてしまうことが往々にしてあります。
護身術で学んだように、まずはガチガチになった心身の「緊張」を解くこと。そして、アタマの中だけで考えず、書き出すことで客観視し、「認知」を変えること。これが、迷いの連鎖を断ち切る最初の一歩です。
転職という大きく、難しい決断に迫られるとき、このことをアタマの片隅に置いておくだけで、迷いを抜け出せます。
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