「最近、職場にいても自分の存在が軽んじられている」 「元部下との距離を感じる」 「仕事はあるようなないような感じで、ただ会社で時間をやりすごしている」
50代になると、このように「職場に居場所がない」と感じる人が少なくありません。 湘南キャリアデザイン研究所にも、「職場に居場所がない」ことに深い悩みを抱え、相談に来られる方が後をたちません。
この悩みが厄介なのは、この状態がつづくと、気持ちが先に沈み、冷静に状況を見られなくなることです。
「もう辞めた方がいいのではないか」「自分は必要とされていないのではないか」「どうして、自分ばかりが貧乏くじをひくのか」「こんな生き方をしたかったわけじゃないのに」と悲観的な感情が強くなり、現状を変えようと結論を急ぎやすくなります。
ここで大切なことをお伝えします。
それは、すぐに答えを出すことではないということです。
そのうえで、「なぜ自分はそう感じているのかを切り分けること」が大切です。
「職場に居場所がない」と感じるとき、その原因は一つではありません。
自分が背負ってきた役割の変化によるものなのか。 人間関係の変化によるものなのか。 それとも、自分自身の価値観や判断基準が変わってきたのか。
当然のことですが、理想と現実のギャップを生み出している要因が違えば、それへの向き合い方も変わります。
そこで、この記事では、50代で職場に居場所がないと感じたとき、最初に切り分けたい3つの原因を整理することをお伝えします。
「職場に居場所がない」と感じる50代が増える理由
50代は、会社の中での役割や立ち位置が大きく変わりやすい年代です。
30代、40代の頃のように、右肩上がりのキャリア曲線を描ける時期とは異なります。 役職定年や配置転換、若手の登用、上司交代など、自分の意思とは別のところで環境が変わりやすくなります。これまで当たり前だった役割や関係性が少しずつ揺らぎ始めます。
一方で、自分自身の内面にも変化が起きます。 これまでなら飲み込めたことが飲み込めなくなったり、評価や肩書を外された喪失感、「この先、自分はどう働きたいのか」「何のために仕事をするのか」を強い不安とともに考えるようになったりします。
50代になり、自分の責任において、自身のキャリアを切り拓くことを求められることになったわけですから、不安や悩みを抱いたとしても無理はありません。
それゆえに、まずは整理が必要なのです。
原因① 組織の変化によって、居場所がなくなった
最初に考えたいのは、組織の変化が原因になっていないかということです。
職場で居場所がなくなったように感じると、多くの人は「自分に問題があるのではないか」と考えがちです。実際には、本人の能力や努力とは別に、会社側の事情によって立ち位置が変わることがあります。役職定年やポストオフがその一例です。
たとえば、役職から外されたとき。 上司が交代し、求められる役割が変わったとき。 組織再編により、意思決定の流れが変わったとき。 若手中心の体制になり、これまでの経験が活かされにくくなったとき。
このような変化が起きると、本人は何も変わっていないつもりでも、周囲との接し方も変化します。そして、「自分は軽んじられている」「自分は歓迎されていないように感じる」「以前とは扱われ方が違うと感じる」「自分は評価されなくなった」「会社にとって不要になった」と感じてしまうのです。
しかし、ほんとうにそうでしょうか?
もしかすると、「自分が劣化した」ということではなく、組織のルールや期待の置き方が変わったために、以前のままでは居場所を感じにくくなっているということかもしれません。
ここを見誤ると、日常がとてもつらくなります。 自分と会社の間での役割の再確認や期待値のすり合わせが必要なのに、自分を責める方向へ進んでしまうからです。 まずは、「自分の身の回りに起きた事実をありのままに捉え直す」必要があります。
原因② 人間関係や接点の変化によって、居場所がなくなった
二つ目は、人間関係や接点の変化です。
職場の居場所は、役職や仕事の量だけで決まるものではありません。 誰かに声をかけられ、何かを相談される。 頼りにされる。 そうした日々の接点の積み重ねが、「ここにいてよい」という感覚につながります。
ところが50代になると、この接点が少しずつ減ることがあります。
以前はよく相談されていたのに、最近は声がかからない。 雑談の輪に入りにくくなった。 重要な情報が自分に届くのが遅い。 自分から話しかける回数も減っている。 周囲に気を遣いすぎて、本音を出さなくなった。
こうした変化が積み重なると、自分の気持ちの中で「自分の居場所がない」と感じやすくなります。
この場合、問題の中心は、能力や実績よりも、人とのつながり方が変わっていることにあります。 職場での居場所は、「何をしているか」だけでなく、「誰とどうつながっているか」によっても左右されるからです。
人間関係の変化は数字で見えにくいため、自分でも整理しにくいものです。 だからこそ、「仕事はあるのに苦しい」というときは、接点の質と量がどう変わったかを捉え直す必要があります。
原因③ 自分自身の基準が変わり、今の職場に違和感を覚えている
三つ目は、自分自身の基準が変わってきたことです。
これは見落とされやすい原因ですが、50代では非常に重要です。
同じ会社、同じ部署、同じ仕事であっても、以前のように気持ちが乗らないことがあります。 若い頃は、昇進、評価、成果、周囲からの期待が大きな意味を持っていたかもしれません。けれども50代になると、それだけでは踏ん張れなくなることがあります。
「このままでよいのか」と考えるようになった。 「会社のため」だけでは頑張りきれなくなった。 「何を残したいか」「どう生きたいか」を意識するようになった。 家族、健康、親のこと、定年後の時間など、仕事以外の現実も前に出てきた。
その結果、昔は気にならなかった職場の空気や仕事の意味に、違和感を覚えるようになります。
このとき、自分では「とにかく自分は不遇だ」と思いがちです。
しかし実際には、自分の社会人としての残り時間、一人の人間としての残り時間との関係において、自分の価値観が揺らいできて、今の会社の雰囲気が合わなくなってきたということもあります。
これは決して悪いことではありません。人生の後半戦に向けて、自分の働き方や生き方を見直す自然な動きです。
ただし、この原因を無視したまま、組織や上司だけの問題として捉えると、いつまでも答えが出ません。 職場への違和感は、外の問題だけでなく、自分の内側の変化からも生まれるのです。
3つの原因を見分けるために、自分に問いかけたい3つのこと
ここまで見てきたように、「職場に居場所がない」という感覚の背景には、少なくとも3つの原因があると考えられます。
では、自分はどれに近いのか。 それを見分けるために、次の3つを問いかけてみてください。
1.この1年で、いちばん大きく変わったのは何か
会社の仕組みなのか。 関わる人なのか。 それとも、自分の感じ方なのか。
この問いは、変化の出発点を見極めるためのものです。 最初に何が変わったのか、事実のみに着目し、捉え直すことで、「職場に居場所がない」と感じている原因の輪郭が見えやすくなります。
2.いちばんつらいのは何か
仕事を任されないことなのか。 人との距離ができたことなのか。 今の働き方に意味を感じにくいことなのか。
「居場所がない」と一括りにせず、何が最もつらいのかを言葉にすると、自分が本当に困っているポイントが見えてきます。
3.本当は何を手元に置いておきたいのか
役割なのか。 信頼関係なのか。 納得感なのか。
この問いはとても大切です。 なぜなら、人は大切にしてきたコトやモノを失ったとき、それが自分の力ですぐに取り戻せないときに、そのもどかしさや悔しさが苦しみを作り出すからです。
そこで、 「自分は何を失った」と捉えるよりも、「自分は何を手元に置いておきたいのか」ということを捉えることで、自分が整理すべきことが明確になります。
原因を取り違えないことが、50代のキャリア判断を左右する
50代で「職場に居場所がない」と感じたとき、最も避けたいのは、原因を整理しないまま大きな判断をしてしまうことです。
- 組織の変化が原因なのに、自分の能力不足だと思い込んでしまう。
- 関係性の変化が原因なのに、もう会社に見切りをつけるしかないと思い込んでしまう。
- 自分の基準が変わっているのに、環境だけを変えれば解決すると思い込んでしまう。
こうした取り違えがあると、今の会社に残るにしても、離れるにしても、自分の判断がぶれます。日々、あるいは時間毎に、自分の判断がコロコロと変わってしまうことが往々にして生じるのです。
50代は、30代、40代の頃と比べて、「時間というリソース」は短くなっています。 感情や勢いだけで、自分のキャリアを決めることは得策ではありません。
50代からのキャリアを、よりよいキャリアに整えていくためにも、「職場に居場所がないと感じる今の苦しさの正体は何か」を見極めることが、次の一歩を誤らないための土台になります。
大切なことは、「ゆっくり、いそげ」です。
感情に押されて結論を急ぐのではなく、まずは原因を見極めることです。
そのうえで、自分の価値観に沿って次の一歩を選ぶことが、50代からのキャリアを丁寧に扱う出発点です。
まとめ|「居場所がない」の正体を見極めることから始める
50代で職場に居場所がないと感じることは、ある意味自然なことです。
その背景にある原因は複数の要因が絡み合っていることが一般的です。
組織の変化によって、立ち位置が変わっているのか。 人間関係や接点の変化によって、孤立感が強まっているのか。 それとも、自分自身の価値観や判断基準が変わってきたのか。
この違いを見極めないままでは、方向性が見定まりません。
50代で、「職場に居場所がない」と感じたとき、必要なのは、すぐに無理に前向きになることでも、勢いで会社をやめたり、転職活動したりすることでもありません。
自暴自棄になりそうな気持ちが沸き起こったとしても、 まずは、その感覚の正体を丁寧に捉え直すことです。
原因が見えてくると、自分が本当に向き合うべき課題も見えてきます。 そしてそこから初めて、今の会社に残るのか、離れるのか、あるいは、自身で新しい道を切り開くのかを冷静に捉え直すことができます。
自分に問いかける3つのことに是非向き合ってみてください。
もし、この自分と向き合うことを一人で進める中で、客観的に捉え直したいと感じた時には、湘南キャリアデザイン研究所の存在を思い出していただけたら、嬉しく思います。
私は、30年以上にわたる人事のプロとして、そして同じようにキャリアに悩み抜いた50代の一人として、あなたの言葉に真摯に耳を傾け、対話を通じてご自身の答えを見つけるためのお手伝いをします。
まずは、「キャリア・リノベーション相談」という場で、あなたの今の率直な気持ちをお聞かせいただくことから始めてみませんか。
漠然とした不安、誰にも言えない本音、どんなことでも構いません。ご自分の思いを、誰かに話すことで、自分の思いが整理できることもありますから。
あなたの50代からの人生が、より豊かで、あなたらしいものになることを心から願っています。
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