「終活」から始まる未来の切り拓き方とは?〜50代が人生の最後に笑うためのキャリアリノベーション


あなたは「終活」と聞いて、何を思い浮かべますか?

実家の片付け、遺言書の作成、お墓の準備…。その一方で、「就活」はもう自分には関係ないと思っていませんか? 50代の今、この2つの言葉が結びつく時、あなたのキャリアは新たな光を放ち始めます。なぜなら、未来の働き方は「人生の終点」から見えてくるからです。

本記事では、湘南キャリアデザイン研究所代表の扇慎哉自身の経験を交えながら、終活が最高のキャリアを創り出す秘訣をお伝えします。

50代のキャリアが直面する「見えない壁」

50代。多くの人が、この年代でキャリアの停滞感や閉塞感を抱えています。「このままでいいのだろうか?」という漠然とした不安を抱えながらも、具体的な行動に移せない。その根底には、「自分にはもう新しいキャリアを築くチャンスはないのではないか」という諦めがあるのかもしれません。

事実、50代の転職は簡単な道のりではありません。

厚生労働省の雇用動向調査結果の概況(※1)によると、令和5年の50代の転職入職率は、50~54歳の男性で5.6%、女性で9.0%、55~59歳の男性で6.6%、女性で7.6%というデータがあります。このデータから50代の転職は簡単でないことがうかがえます。転職に至る理由も定年、役職定年、早期退職の勧奨等、本人の意思と必ずしもリンクしない場合も増えているように思われます。

こうした社会的な背景も相まって、私たちは「もう今さら…」という気持ちになりがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか?

「終活」が50代の人生に投げかける問い

あなたは「終活」を、単なる「身辺整理」だと考えていませんか?

私は、親の介護や実家の片付けを通じて、終活が持つ本当の意義に気づかされました。それは、人生の終点から逆算して、今をどう生きるべきか、どう働くべきかを、自分の意思で設計するという意義です。そのための準備期間として、50代は知力・気力・体力ともに、絶好の機会なのです。

公益財団法人生命保険文化センターによると、2024年の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳とことです。(※2)

他方、人生100年時代と言われるものの、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」は、2022年で、男性72.57歳、女性75.45歳です。2022年の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳。(※3)平均寿命と健康寿命の差は、言葉を選ばずに言えば、「必ずしも健康でない期間」と言えます。健康上の問題で日常生活に制限のない期間を示す「健康寿命」との間には、ギャップがあります。このギャップをどう生きるのか、あるいは、人生の最期をどう迎えたいのか、その問いに正面から向き合うことが、50代の私たちには欠かせないと、私は考えます。

終活とは、自分のたった一度しかない人生を、どのように終えるかという「ゴールのイメージ」を自らの主体的な意思により明確にすること。そのイメージが鮮明になればなるほど、今のキャリアをどう再設計し、リノベーションするか、その道筋がはっきりと見えてくるのです。

なぜ「終活」が最高の「就活」になるのか?

終活は、単なる身辺整理ではありません。それは、自分自身の「人生のミッション」を再発見する大変有意義な活動です。50代になると、この活動に目を向ける人は、残念ながら必ずしも多くありません。目の前の現実に精一杯取り組むがゆえに、活動に必要な時間を創出できない人が多いからです。
「まだまだ先で構わない」「いますぐ考える必要性が感じられない」「めんどくさい」様々な理由があるでしょう。

しかし、私はあえてお伝えしたいです。

50代からの「キャリアのリノベーション」は、「人生の終わりから価値観を振り返る」という考え方と、自分の歴史を振り返り、自分の経験(それは、必ずしも楽しいことばかりではなく、つらい経験も含めて)に意味づけすることあります。

一般的に「就活」は、新卒や転職活動を指し、50代には直接関係ないと思われがちです。しかし、「人生を終えるための活動(終活)を通じて、今をどう生きるか、どう働くかを見つめ直す活動」と再定義してみると、「就活」は別の意味合いを持ちはじめます。

50代は、親の介護や自身の生き方、健康など、人生の終わりを意識し始める時期です。そのため、「終活」は現実的で切実なテーマです。「人生の終わりをどう迎えたいか」という問いに対して、「人生の終わりを見据えて、今をどう生きるべきか、どう働くべきかが見えてくる」という考えに気づき、最終的なキャリアのリノベーションの重要性を認識することにあります。

あなたが人生の最後に「心から満足だった」と言える状態とは、どのようなものでしょうか?
この深い問いに、あえて取り組むことが、50代のキャリアデザイン(キャリアのリノベーション)を意義深いものに昇華させていくのです。

終活とは、まさに人生の総決算としての究極の「就活」なのです。

経験価値の再定義

人生の終点から見ると、これまでの挫折や失敗、一見無駄に思えた経験に、何かしらの意味があることに気づきます。一つひとつの出来事や経験が、「点」として繋がっていることに気づくのです。それはまるで、スティーブ・ジョブズが語った「点と点」の哲学のようです。

私も過去、自分が想定しないほど低いポジションの人事異動を受け入れざるを得なかった時期がありました。当時は「低空飛行」に入ったと感じていましたが、後から振り返れば、それは「荒地」に見えた土地に隠された「恵まれた土地」を発見するきっかけとなりました。

自分がこの世を去ったときのための準備

終活は、自分だけでなく、大切な家族との関係性を再構築する機会でもあります。家族で使っていたステンレス製の風呂桶(おそらく60年以上前のもの)を未だに捨てられないこと、兄弟間の遺産分割で意見の相違があったこと。そうした経験から、私は「終活」とは、「誰に何を残し、誰に何を託すか」という自分の思いを明らかにすることであるとの考えに至りました。

自分のこの世を去ったときに、大切な存在である家族のための優しさでもあります。「家族に対して申し訳ない」という気持ちから、「心からありがとうと言って旅立ちたい」という想いに変わったように、終活は家族との対話を通じて、人生の価値観や仕事観を共有する絶好の機会を与えてくれます。

貢献への意識

人生の最後に「心から満足した」と言える人生は、単に成功やお金を追い求めるだけでは得られません。私の場合、「誰もやりたがらない仕事を完了させ、次の世代につなぐ」ことが、仕事をする上で最大の喜びでした。これは、自分の人生を「誰かのために」活かすことの意義に気づいたからです。

終活を通じて、自分の人生のミッションを見つめ直すことは、今後のキャリアを、単なる仕事ではなく「使命」へと変える力を持っています。

今日から始める「終活キャリアデザイン」

「終活」を組み合わせたキャリアデザインは、今日からでも始めることができます。

まずは、大きなことを考える必要はありません。

「人生の最後に、何を思い出したいか?」

この問いをノートに書き出すことから始めてみる。
あなたの仕事、家族、趣味、人間関係…何があなたを心から笑顔にしてくれるでしょうか?

そこから気づいたことは、あなたの「生きる指針」となり、今後の人生(私生活やキャリア)を力強く後押ししてくれる羅針盤となるはずです。

まとめ

未来を拓く「終活」。それは、人生の「ロスタイム」に差し掛かった今だからこそ、過去を丁寧に振り返り、意味づけし、未来を見据える最高のタイミングなのです。

「具体的に何から始めればいいのか?」「もう少し話を聞いてみたい!」と思われた方は、まずはお問い合わせください!あなたの思いを具現化することにお役立ちできると思います!

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引用元
※1 厚生労働省雇用動向調査結果の概況( e-Stat 年齢階級別 転職入職率(表番号4-2))
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450073&tstat=000001012468&cycle=0&tclass1=000001012478&stat_infid=000040078064&tclass2val=0

※2 公益財団法人生命保険文化センター
  平均寿命 https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1043.html
  平均余命  https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1160.html

終活を人生の宝物とし大切に扱うビジネスパーソンをイメージした画像です。
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